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第12期 放送作家セミナー 講義記録
4月3日
 私、山中伊知郎が、放送作家セミナーがどのように進んでいくのか、また、これが終わった後、どうなるのか、放送作家自体がどのような仕事をし、新人で入ったらどんな仕事をやらされるのか、などについて語る。
4月10日
 講師は「エンタの神様」スタッフの比留間晃則さん。
 比留間さんが強調したのは、「テレビ番組を作る人間は自己満足に陥ってはいけない」ということ。
 特に、ゴールデンタイムを作る時には、数千万円の予算を使い、数千万人の視聴者を相手にする。やるからには「仕事としてテレビに関わらなくてはいけない」と彼は言う。 (深夜の実験番組であれば、ある程度、自分の趣味に走るのはありだが)
 ゴールデンタイムの番組の成功例として、比留間さんが出したのが「東京フレンドパーク」。
 なぜあの番組が成功したのか?
     ○途中から見ても、内容が簡単にわかる。
     ○他のことをしながらの「ながら視聴」でも内容がわかる。
     ○タレントが一生懸命やっているのを見て、視聴者の「共感」が得やすい。
     ○特定の「趣味」に偏っていない。
 比留間さんは、「どうしてもこれがやりたいから放送作家になる」と自分のテーマや価値観に固執する人はテレビのバラエティの放送作家には向かない、ともいっている。(そういう人は小説家などになればいいのではないか、とも)   
  実際、テレビ番組作りは集団作業で、一人の人間の意見が全面的に反映されるケースなどはほとんどない。より柔軟に、自分の「趣味」に固執するのではなく、多くの人がどんな娯楽を求めているのかを考えていってほしい、と彼は言うのだ。
4月17日
 講師はフジテレビ・プロデューサーの清水淳司さん。
 最近では、フジテレビHPに登場した『香リン4』というネット・アニメのプロデュースもしている。
 そこで、今回は主にネット・アニメに関する講義で、課題もネット・アニメの企画。
 最初の数十分は、ネット・アニメの状況について語る。『フロッグマン〜蛙男商会』『秘密結社鷹の爪』『ラルコ〜やわらかい戦車』などがヒットして、実際にビジネスとして成立していること。また、テレビ番組に比べ、ずっと安い予算で作れるので参入しやすいことなどを指摘。キャラクターグッズ販売などのウマミもあり、テレビ局も積極参入の構えがあるとか。
 で、それぞれの企画チェックに入っていったが、清水さんの要望としては、アニメは最低でも登場キャラクターがどんな人、モノかがわかるようにしてほしいとのことだ。絵で描いてもらうのが一番だが、それが難しければ、文章で特徴を書いて欲しいという。
 とにかく、ネット・アニメには今、チャンスが転がっているので、いい企画があったら少なくともフジテレビの企画会議には出せるから、セミナーとは別でも、どんどん送ってくれ、との話だった。
4月24日
 講師は、『スッキリ!』などの情報バラエティから『エンタの神様』『皇室日記』など様々なジャンルの番組で幅広く活躍する放送作家・金森匠さん。
 まずは課題について触れて、「キャッチコピー作りは、最も簡単に見えて難しいこと」と言う。何かを視聴者に伝える時、「簡潔に、しかし強烈に」誰でもがわかるように伝えるのがテレビの使命。一つの番組の趣旨を語る際にも
できれば一言で面白さを語れなくてはいけない。
  続いて企画書について話が進み、番組の改編の時、編成部には少なくともプロの書いた企画書が2−3百本は集まるとか。で、実際に番組になるのはその1−2%程度。編成部も、全部を最後まできっちりと目を通したりはしない。だからこそ、企画書の勝負は最初の2、3ページだという。そこで「魅力」を感じさせる企画を作るしかない。
 もっともNHKはどんな企画でも、企画書の書式は一枚で決まっている。テレビ東京は、「この人なら出演は大丈夫」などと細かいところまで書かされる。
 テレビ番組の企画でいえば、ほぼパターンは出尽くしたといってよく、あとは、「たとえば『笑っていいとも!』からテレフォンショッキングを抜いてどんなコーナーを入れたら面白いか」といったように、よりよいアレンジのアイデアを考えるのが放送作家の仕事になっている。
5月1日
 波照間てるこ。さんのネタをみんなで考えてもらい、実際に本人に演じてもらう回。
 放送作家セミナーのメンバーはさすがに、波照間さんのキャラクターをおさえつつ、ネタを考えてはくれた。ただ、実際に演じてみると、どうしても、「説明部分」のセリフが多いのに気付く。
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point 5月8日
 講師は大悟法弘一氏。元々、この放送作家セミナーの第6期生で、現在は「さんまのスーパーからくりTV」なとの構成に名を連ねる。25歳。
 最初に課題について語ったあと、自分がどうやってテレビ業界に入り込めたかについて語りだす。
 セミナー卒業後、放送作家の大御所である大岩賞介氏に出会う。(ちなみに大岩さんは元パジャマ党で、萩本欽一さんの番組や明石家さんまさんの番組を数多く手がけている。さらに言っておくと、彼を大岩さんに紹介したのは、実は、私、山中です)
 子供の頃からお笑いが大好きで、お笑い番組はすべてチェックしていた上に、細かいメモまで書いていた彼は、そのメモを大岩さんに見せて気に入られた。とにかくメモは、海砂利水魚時代の上田の突っ込みパターンが100通りくらい書かれていたり、とてもマニアックなものだったのだ。
「お前がお笑いを好きなのは、これでよくわかる。仕事は好きな度合で差が出るのだから、お前はお笑いの仕事に向いている」といってもらう。それから毎日のようにメールで大岩さんに企画を書いたが、一年くらいは仕事に結びつかず、別のコネでクイズ作りの仕事をやっていたが、突然、「明石家さんチャンネル」という番組が立ち上がるから構成で入れ、と大岩さんに言われて、そのあとすぐに「からくりTV」にも入れてもらった。
 だから大岩さんが師匠。
 大岩さんから聞かされた放送作家としての心得も、いくつかいった。
   「面白い企画は一行で伝わる」
   「好きでやっていた時の夢中だった気持ちを忘れるな」
   「頼まれたことをやるのは商売。それ以上やるのがサービス。放送作家である我々はサービス業」
   「必ずつらい仕事はいつもひとつはやっておきなさい。さぼれないから」
 ただ、大岩さんのバックアップだけでなく、TBSにほぼ半年泊まり込みにちかくいた、という話や、自分とは関係なくても番組のロケにはなるべく行く、という話は、彼が根っからのテレビ好きなのを表している。
 人間、好きな仕事をやった方がいいということだ。
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point 5月15日
 TBSラジオ・関谷浩至さんが講師。同じTBS出身の久米宏さんに学んだことが多いという。
  それを箇条書きにすると、
   ○「ニュースに余計な感情移入をしなくていい」ということ。淡々と語ることでかえって伝わることも多い。
   ○その日のラインナップに合わせて服装は決めるべきだということ。暗いニュースの多い時は
     落ち着いた色の服装で、はずんだ話題の多い時は明るい服装、とか。
   ○久米さんがラジオのリポーターをやっていた時の話。たとえば、永田町の役所にリポートに行く時には、
     一週間前に前もって取材に行き、どんな音の響き方をするか、どんな靴の音が雰囲気を伝えられるか
     を前もってチェックした。ラジオは音をコントロールするだけで、ドラマチックになる。
 結局、ラジオの企画書を書く場合、ラジオのメディアとしての面白さが企画の中に入っていないと意味がない。音だけしかない世界でどこまで伝えられるかが勝負。

  またラジオの企画書を書く場合の要素として必要なのは
     ○ナマか録音か  
     ○ターゲットになるリスナー層  
     ○中継かスタジオか  
     ○スポンサー  
     ○時間帯
     ○パーソナリティー
   最低、この六項目は書いてほしい、とのこと。
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point 5月22日
 講師は大辻民樹さん(「美の巨人たち」などを構成するドキュメンタリー構成作家)。
 放送作家の分類から話は始まる。ドラマ作家、ドキュメンタリー構成作家、バラエティ作家と大きく分けて三つ。大辻氏はドキュメンタリー構成作家で、バラエティのようになかなか掛け持ちはできないが、一本の番組の構成や、ナレーション原稿などを書く。
 ギャラはここ20年くらいあまり変わらず、1時間のドキュメンタリーで40万円前後か。
  だいたいどんな仕事をするかといえば、まず、資料を読んだ上で構成案から想定台本を書き、撮影班が撮影をすませたVTRをもとに、最終の台本、ナレーションを書く。編集に付き合う事もある。
 それから、大辻氏が浅井企画の所属作家になったいきさつについても語ってくれた。もともと高校野球の選手だったことから、「だったらウチのチームに入れ」というのがもともとだったとか。つまりキッカケはどこに転がっているのかわからない。
  映画なら、映画館に入った時点で、観客は最後まで見てくれるが、テレビは1分1分が勝負、という話は特に強調していた。
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5月29日
 講師は、元ラジオの『コサキン』構成者であり、現在はドラマや映画脚本、それに女優・水野美紀と組んでの2人劇団『プロペラ犬』の台本などを手がけている楠野一郎さん。
 みんなの質問に答える形でセミナーは進行する。
 まず、放送作家になったキッカケの話から。高校生の頃に偶然、ラジオの『コサキン』にハガキ投稿をしたら関根さんに認められ、「手伝ってくれないか」と呼ばれる。そこで劇団『カンコンキンシアター』の台本を手がけたり、ラジオの関根さんの番組を手伝ったり。
 そのうちに人脈がしだいに広がっていったのもあって、昔からやりたかったドラマや映画の台本などの方に仕事をシフトしていった。
 この人脈の広がりについては、いくつか具体例があった。たとえば、ニッポン放送の仕事をしているうちに、そこのディレクターと仲良しになり大槻ケンヂの番組の作家をやるようになる。で、大槻と一緒にいろいろやっているうちに、彼と親しかった菅野美穂や水野美紀、それに舞台や映画関係者とも知り合いになっていく。こんな形で、人間関係は広がっていく。
 自分は、あくまで、やりたいのは脚本であり、バラエティはその過程である、との認識を楠野氏はもっていた。だが、いくら過程だからといって手を抜いていいはずもなく、そこでちゃんと結果を残さなくては、決して本来の目的にも近づけない。
 ただ、視聴率に一喜一憂するだけの「テレビ屋」にはなりたくない、とははっきりいっていた。クリエーターとして作品にかかわりたい、と。
 放送作家にとって必要なものとは、ますは最低限のコミニュケーション能力。たとえバラエティであれ、ドラマであれ、テレビや映画の仕事は「団体作業」。他人とコミニュケーションをとれる能力がなくては、仕事にならない。コミニュケーション能力を一番高めるのは異性とデートするのがいい。とも。
 それと、自分は年に映画を300本と舞台を50本見ているが、とにかく好きなものは死ぬほど見るくらいでなくてはいけない。
また、作家になるのは、陸上の100メートル走のようにスタート地点が誰も一緒ではない。自分で自由にスタート地点を選んで走り出せばいい、とも語っていた。
 で、現在上映中の映画でぜひ見てもらいたいのは、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『劇場版・鷹の爪』『償い』の3本で、さらに、こんなにヒドい映画がある例として『少林少女』も見ておいた方がいい、とか。

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point 6月5日
 講師はNHKプロデューサー・柳昌之さん。
 最初は自己紹介から。柳さんは、NHKの中でも、いわゆる歌番組やバラエティなどのエンターテインメント畑をずっと歩いてきた人であり、その間にどんな番組に関わってきたか、などを語る。「歌謡コンサート」や「クイズ日本人の質問」など、様々な番組のプロデュースをやってきた。
 で、それから、課題である小堺一機さんをパーソナリティにしたラジオ番組の企画について、書いた本人のプレゼンが始まる。つまり、内容を簡潔に語り、どこが面白いのかなどについても本人に話してもらうわけだ。
  それを聞きつつ、柳さんは、「企画はこう書いた方がいい」「こうした方が通りやすい」などとアドバイスを入れる。
  その中で、特に強調したのは、
  ●企画書の文章は簡潔な方がいい。ダラダラ長いと、それだけで悪印象を与える。
  ●「遠慮」はいらない。「・・・だと思う」とか「・・・でしょうか」ではない。「・・・だ」とはっきり言い切ってしまおう。
  ●できるだけ具体例を入れる。要するに、どんな展開を見せるかは具体例がないとわからない。
  ●一言で、番組の趣旨がわかるような書き方をしてほしい。「いろいろ書いてあるけど、
   結局、何をやりたいの?」と思われる企画書はマズい。
  その意味で、今回、セミナーで出た企画書は、どれもまだまだ具体例が少な過ぎて、何をやりたいのかがわからないものが多かった、という。
 「できれば、同じ企画書を二度三度と直せば、もっと企画書の書き方がよくわかるのだが」
  とは柳さんの弁。だが、残念ながら、セミナーでは毎回講師も変わり、そのたびに新しい課題に挑戦してもらうシステムになっている。
 「確かに、その方が、いろいろなタイプやジャンルの人たちと触れ合えるし、メリットも大きいな。これから放送作家を目指す人にはそちらの方がいいかもしれない」と柳さんも納得していた。
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point 6月12日
 コンビ「フライングマン」を呼び、彼らのための1分ネタをやってもらう。
  まずは、セミナー生の書いてきたネタをやってもらったが、とにかく総体的に長い。「レッドカーペットで使えそうな1分ネタ」というのが課題だったのだが、2分、3分とかかるネタが続出した。だいたい、それほどアクションもなく、半分は読み合わせに近い形でやってこれなのだから、実際はその3割くらいはさらに長くなる。
  1分ネタの基本は、まず最初の5秒、10秒で、インパクトがある上に設定もすぐにわかり、笑いが取れるくらいでないと、あとは苦しい。ところが、みんな、ます設定を説明するので30秒かけてたりする。これでは、時間切れだ。
  また、福岡県出身で、顔が「ゴリラ似」というフライングマンの特徴を、なかなかうまくネタに反映できない。
  セミナー生のあと、ネット講座の人たちの分もやってみる。
  フライングマンの特徴をわからないケースもあり、さらに難しい。1分の中で、どこまでインパクトのある要素を入れ込むかは、実際に、本人たちに演じてもらったのを見ないと、わかりづらいのかもしれない。
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point 6月19日
 放送作家、ライターとして活動しながら、「西口プロレス」の一員として、また、漫才コンビ「東京ペールワン」のツッコミとしても活躍する橋本貴広さんが講師。
 最初に簡単に、橋本さん自身のプロフィールを語る。放送作家としては『志村けんのバカ殿』『エンタの神様』などに関係している。
 で、さっそく課題である「クイズの企画」の総評に。その中で、実際にテレビの企画会議に行ったら、こうした方がいい、というポイントをいくつかあげてくれた。
   ●会議では、すでに紙に書いてきた内容以上に、その場でどう「新しいアイデア」をしゃべれるかの方が
     比重が高い。だからこそ、「書かない隠しダマ」を準備しておくべし。いかにもその場で思いついたように、
     前もって考えていたとっておきのアイデアをしゃべると、けっこう通る。
     通らなくても「あいつは、なかなかヤル」と評価が上がる。
   ●めげない。何日も一生懸命考えて、何十本も企画を出しても全部ボツ、はよくある。
     いちいちめげていたらやってられない。
   ●企画書でも、会議の発言でも、「ケータイ」でハヤっている、など、さりげなく、いかにも新しそうな
    フレーズを入れよう。
   ●とにかく「わかりやすさ」が大事。テレビで、こみいった企画をやろうとしても、見てもらえない。
    そのあと、西口プロレスのことについても触れてくれた。無名芸人が、とにかく自分たちの好きなことを
     やろう、とスタートしたキッカケのところから、長州小力のブレイクで一挙に女性ファンが増え、
     また最近は落ち着いてきたあたりまでの経緯。
 「ハヤっている番組は見ておこう」
 「自分がどうしてもやりたい番組企画があったら、今なら、勝手に作って、ネットで貼り付けちゃえばいい」
  などとも語ってくれた。
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point 6月26日
 最終回ということで、私、山中とセミナー生とが語り合う回。このセミナーに来て意味があったか? あるいはこれからどうしていきたいか、などのセミナー生の話を聞く。「では、キミはしばらくライブの手伝いをしてくれ。何か仕事があったら紹介する」など、こちらからも要望を出す。
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